太陽光発電の発電コストは下がるのか?

 

住宅用の太陽光発電システムは、需要の高まりとともに値下げが続いています。

 

同様に産業用の太陽光発電システムも余剰電力の買い取りの実現によってシステム価格が大幅に下がっています。

 

住宅用の太陽光発電システムのコストと、発電システムの価格の推移について見て行きたいと思います。

太陽光発電システムの価格を決める要素

 

太陽光発電システムの価格は三つの要素で決定されます。

 

一つ目は原材料の価格

 

つまりパネルを形成するシリコンや半導体の価格です。

 

この中でもシリコンの価格は太陽光発電システムの価格に大きく影響を与えます。

 

輸出入する場合にも価格に影響を与えますし、自社工場でつくる場合にも工場維持費や人件費など価格にダイレクトに影響を与える要素が多くあります。

 

二つ目はメーカーの販売戦略に関する要素

 

これは、品質と価格のバランスをどのようにとっていくか、各社それぞれの戦略に合わせて適性価格が決定されることを意味します。

 

この適性価格は国内では8割を占める住宅用と残りの2割を形成する産業用では大きく異なりますので、それもメーカーによってどのようにとらえているかが異なります。

 

三つ目は品質

 

大量に作るからと言って基本となる品質に手抜かりがあれば、決して受け入れられるものとはならないからです。

 

現在のように太陽光発電に参入するメーカーが乱立している状態で、一歩抜け出たメーカーになるためには、長期保証や定期メンテナンスなどを打ち出す場合が少なくありません。

 

ですが、長期保証を実践するためには、その期間、故障や発電効率の著しい低下がないことが前提となります。

 

定期メンテナンスの度に部品を交換していたり、頻繁に修理依頼の電話がかかったりするようでは、コストに見合わなくなってしまうからです。

 

高品質と価格の折り合いは非常に難しい問題と言えます。

住宅用太陽光発電システムのコストの推移

 

住宅用太陽光発電システムが、一般的に市場に出回るようになった1994年には、1kW当たりの設備価格は200万円で1kWh当たりの発電コストは140.0円でした。

 

そして1995年には1kW当たりの設備価格は1,433,000円で1kWh当たりの発電コストは100.3円と1年で大幅に下がりました。

 

1999年には1kW当たりの設備価格は963,000円で1kWh当たりの発電コストは67.4円と、単位発電量当たりの設備価格が100万円を切り、住宅用として大きく普及が加速しました。

 

2004年は1kW当たりの設備価格は654,000円で1kWh当たりの発電コストは45.8円と、10年前に比べて単位発電量当たりの設備価格も発電コストも3分の1になりました。

 

2010年は1kW当たりの設備価格は585,000円で1kWh当たりの発電コストは41.0円と、初めて単位発電量当たりの設備価格が50万円台になりました。

 

1kW当たりの設備価格 1kWh当たりの発電コスト
1994 2,000,000円 140.0円
1995 1,433,000円 100.3円
1996 1,167,000円 81.7円
1997 1,033,000円 72.3円
1998 1,017,000円 71.2円
1999 963,000円 67.4円
2000 873,000円 61.1円
2001 785,000円 55.0円
2002 730,000円 51.1円
2003 675,000円 47.3円
2004 654,000円 45.8円
2005 635,000円 44.5円
2006 675,000円 46.0円
2007 669,000円 46.8円
2008 682,000円 47.7円
2009 630,000円 44.1円
2010 585,000円 41.0円

発電コストの内訳の推移

 

発電コストには、太陽光発電モジュールの価格、インバーターの価格、その他の必要機器の価格、設置工事にかかる経費が含まれています。

 

この中でも架台など必要機器の価格と標準的な取り付け工事費は、あまり変化はないのですが、需要の伸びに合わせて大量に製品を生産できることと、技術の革新的な向上により、太陽光発電モジュールとインバーターの価格は大幅に下がってきています。

 

例えば2002年には屋根設置型で発電量3kWの場合、モジュール価格は平均144万円でインバーター価格が270,000円。

 

2003年には同じ条件でモジュール価格は平均135万円でインバーター価格が240,000円でした。

 

2004年はモジュール価格は平均1,305,000円でインバーター価格が234,000円。

 

2005年はモジュール価格は平均1,257,000円でインバーター価格が231,000円と順調な価格の低下を見せました。

 

ですが、2006年にはモジュール価格は平均1,299,000円でインバーター価格が240,000円と一時的な価格上昇を示しました。

 

2007年はモジュール価格は平均1,305,000円でインバーター価格が255,000円。

 

2008年はモジュール価格は平均132万円でインバーター価格が255,000円と微増が続きました。

 

しかし、2009年からモジュール価格は平均1,206,000円でインバーター価格が231,000円。

 

2010年はモジュール価格は平均1,125,000円でインバーター価格が18.9円と大きく値下げが開始しました。

今後の発電コストの動きの予測

 

さらなる発電効率の良い製品が出てくると予測されますが、技術の向上とそれが一般的に購入できる価格で商品化されることは、すぐには難しいと言えます。

 

そこで、今まで値段があまり変化してこなかった架台などの機器類や、設備取り付け工事の費用の低下が期待されます。

 

人件費は物価の向上とともに向上するものですので、これを必要以上に下げることはできませんが、取り付けのしやすいモジュールの開発や工法の革新によって、設置工事にかかる時間を短縮することができます。

 

設置工事にかかる時間を短縮できると、1日にこなせる工事量が増え、結果的には取り付け工事全体にかかる経費を削減することができるのです。

 

そのようなモジュールを開発することと、架台を開発することに多くが期待されています。

 

また、そのような設置のしやすいモジュールや架台と言ったハードの開発だけではなく、設置する作業員の技術の向上などのソフト面での変化も期待されます。

 

作業員が取り付けに必要な技術を充分に学ぶ機会を持つことで、より正確で安全な太陽光発電システムの設置と、設置に必要な時間の短縮が実現されるのです。

 

技術を習得した作業員

太陽光発電システムはメーカーによっても、また商品によっても設置方法が異なりますので、メーカーによっては独自の設置方法を指導していることもあります。

 

そのようなきちんと訓練され技術を習得した作業員が設置することで、購入者もメーカーもそして施工者も利益を受けることができるのです。

設置にかかる経費削減の新たな取り組み

 

設置にかかる人件費を削減するために、ヨーロッパなどの大規模のソーラー施設などではGPS装置を用いた遠隔操作によるモジュールや架台の自動設置が始まっています。

 

ですが、日本などではそういった大規模ソーラー施設より、住宅用の太陽光発電システムの需要が高いので、同じように設備を開発して自動で設置することが利益を生み出すかは疑問です。

 

ですが、同じように遠隔操作で、家庭用の太陽光発電システムに異常がないかチェックするシステムは開発・実用されています。

 

このように定期的なメンテナンスに作業員が各家庭を訪れなくても、遠隔操作でチェックすることで人件費の削減が実現しています。